"インプレスでは、Impress Watch 各メディアに SmartJPEGを導入し、トップページの転送量 60 %削減に成功しました"

株式会社インプレス
https://www.impress.co.jp/

今年創立25周年を迎える株式会社インプレスは、出版/電子出版行、ネットメディア業、主にIT関連の各種セミナー・イベント業を行い、専門のさらなる拡大と、多面的・複合的な発信にチャレンジし続ける企業です。

代表的なネットメディアである Impress Watch は、今年で 20 周年。1 ヶ月あたりのユニークユーザー数は 2500 万超、ページビューは 1 億 2800 万にも上る、日本の主要な老舗メディアです。昨今は IT 以外にも力を入れ、家電や車など、14媒体の編集部で運営を行っています。

写真:インプレスメディア技術室室長、後藤博之氏

60 MB 程度あったページが、4 MB 弱まで激減

――本日はよろしくお願いします。早速ですが、導入後 2 ヶ月たちましたが、その効果についてお聞きします。

後藤氏:
Impress Watch 各メディアに SmartJPEG を導入し、トップページ(記事の一覧ページ)の転送量 60 %削減に成功しました。

計測のタイミングにもよりますが、例えばこれまで 60 MB 程度あったページが、4 MB 弱まで激減することもありました。トップページは恒常的にアクセスが多いため、こちらも非常に満足いく結果となりました。読者の方にも、実感していただいたのではないかと考えています。

――表示速度、という面ではいかがでしょうか。

後藤氏:
実際の表示速度というのは閲覧者の環境によります。そこで、客観的な指標として Google 社 PageSpeed Insight を参考にしました。PageSpeed Insight は、ページの掲載画像数が多くなると、必然的にポイントが悪くなってしまいます。そのため、Impress Watch のような画像の多いメディアでは、点数を上げるのはなかなか難しいのですが、導入前と比べて 20 ポイント程度改善しました。今後調整することで、30 ポイント程度まで改善できると考えています。

ピーク時の転送量をいかに抑えるか

――では、いったん話を導入前に戻したいと思います。
今回の導入では、まず 2016 年 12 月ごろ、当社から SmartJPEG をご提案したと伺いました。それ以前に、Impress Watch になんらかの課題を感じていましたか?

後藤氏:
転送量の増加を抑える、という課題がありました。アメリカで拡散力の強いメディア、いわゆるバイラルメディアが台頭してきた 2012 年頃から、スマートフォンの普及で、文字主体の記事よりも、写真や画像が多い記事の方が好まれる傾向が出てきました。

Impress Watch 各媒体の編集部も画像を多用する記事を作成するようになり、昨今では1つの記事に100枚くらいの写真が並ぶことも珍しくありません。結果として1つの記事の転送量が数十MBに及ぶケースも出てきました。

――読者の環境の変化に応じて、定常的に転送量が増える傾向になったわけですね。

後藤氏:
定常時だけではなく、ピーク時の転送量をいかに抑えるか、というのも課題になりました。

多数の読者が、SNS やキュレーションサービスで話題になった記事へ、同時に殺到することがあります。たくさんの方に記事を見ていただけることは非常にありがたいことですが、読者の人数分だけ、掛け算で通信回線を逼迫させてしまいます。このピーク転送量を抑えることが急務でした。アクセスが集中することは我々ではコントロールできないので、別の方法でのアプローチを検討しました。

サーバーの増強を繰り返すと、コストがかさむ

――では、転送量増加という課題の解決に向けて、まずはどのように対処されましたか?

後藤氏:
ウェブサーバーや回線速度の増強は実施しましたが、ピーク時に合わせて増強を繰り返していくと、コストが無視できないほどかさんでしまいます。

――インフラ面以外では、何か実施されましたか?

後藤氏:
実は、Impress Watch では、以前からウェブテクノロジさんの別のサービスを導入していました。それ以前では、ImageMagick も利用していましたが、画質に対して不満があり、そのサービスに乗り換えた経緯があります。転送量を抑えたい、という課題に直面した際、これに jpegtran というソフトのロスレス圧縮を組み合わせて使っていたのですが、かかる時間の割に圧縮率は低く、結果に満足はしていませんでした。

基準としたのは、圧縮率・画質・コスト

―― SmartJPEG を導入するにあたって、選定の基準となったものはどんなことでしょう?

後藤氏:
基準としたのは、圧縮率、画質、コストですね。まず、圧縮率については、先ほどお話しした jpegtran との組み合わせの時では、数%だったのが、半分以下まで圧縮率を達成できたことを評価しています。

画質については、Impress Watch の各メディアの編集部も満足できるクオリティを維持している点を評価しました。

また、各編集部では求める画質に違いがあります。ですので、編集部ごとに最適な画質と圧縮率を7段階から選択できる、という点も評価のポイントとなりました。

「気にせず自動で圧縮」は大きなメリット

――コストの面では、いかがでしょうか?

後藤氏:
まず、お金の面ですが、導入コストという点では、先ほどの jpegtran はフリーソフトなので、SmartJPEG の導入は、一概にはコスト減とは言えません。しかし、圧縮率とピークの転送量を考慮した場合にペイできるかどうか、が重要です。Impress Watch の規模では、サーバーや回線の補強を繰り返すよりも、SmartJPEG を導入することで、大幅にコストが削減できると判断しました。

運用コストについても、軽減できると判断しました。
Impress Watch は、メディアの性質上、扱う写真の種類が、人や風景、商品、ロゴと多岐にわたりますが、SmartJPEG ならどの写真でも気にせずに、まとめて自動で圧縮することができます。

もちろん「人間が1枚1枚圧縮率を決めて画質を調整」ということができれば、ベストです。しかし、先ほどお話しした通り、Impress Watch の場合は、1記事で100枚の画像が掲載されることもあります。そのような記事が、多い時は1日あたり300本と公開されるので、人の手で画像をすべて処理するのは不可能です。なので、気にせず自動で圧縮、というのは非常にメリットが大きいです。

圧縮率と画質のバランスが良い/運用コスト削減に大きく貢献

――実際に SmartJPEG を導入されて良かった点、悪かった点は何でしょうか。

後藤氏:
良かった点としては、選定の際に重視した、圧縮率と画質のバランスが良いことと、運用コストの削減に貢献したことが、挙げられます。

実は、2016年の夏から、Impress Watch の UI や UX を改善する、という目的で、リニューアルを進めていました。SmartJPEG の導入もその一環といいますか、第二段といいますか、そのような位置付けです。

このリニューアルと並行して、編集部の運用ワークフローに変更がありました。記事に掲載する元写真 1 枚から、あらかじめ圧縮率やサイズの違う 4 種類の画像を作成する、というものです。二段組だったり三段組だったりする記事の一覧ページにすぐ対応できるように、編集コストを下げるための変更なのですが、SmartJPEG にお任せで、4 種類を楽に作成できることは、先ほどもお話しした通り、運用コスト削減に大きく貢献しています。

また、導入に際して、ウェブテクノロジさんにチューニングをお願いしていたのですが、もともと 5 段階だった圧縮率のレベルを 7 段階にしていただいたり、「この赤をもっと良くできないか」などの注文に対応いただけたりしたことも、とても良かったです。

一方で、新たな課題も生まれました。画像処理速度に対して、編集部から不満が出てきたのです。SmartJPEG の導入で画像処理の作業コストが下がり、ワークフローの変更もうまく行ったのですが、SmartJPEG の稼働率が 4 倍に上がったことが原因です。

システム設計面からも改善を図っておりますが、さらなる速度改善に期待しています。

――実は、速度改善に向けて、すでに開発を進めておりまして、処理速度を現状の倍速にすることに成功しています。条件次第では、もう 1 段くらいは下げられそうですので、ご期待ください。

ニュースに限らず、ブログ・EC などの B2C・CGM 業界に高い親和性

――現在、SmartJPEG の導入を検討している企業へ向けて、先行ユーザーとしてアドバイスがあれば、お聞かせください。

後藤氏:
深く考えずに、大量の画像を自動で処理できるので、ニュースに限らず、ブログ、EC などの B2C、CGM 業界に非常に親和性が高いと考えています。

例えば、Impress Watch でも似たことをしていますが、製品一覧などサムネイルで表示する場合は圧縮率を高めに設定し、クリックした時に大きく表示する画像は、製品の魅力を引き出せるよう画質重視で圧縮率を低く設定する、などの運用がお勧めです。

写真左はウェブテクノロジ小高、三上

――今後、SmartJPEG に期待するものは、なんでしょうか?

後藤氏:
先ほどお話しした4種類の画像を作成するときの処理速度の向上についてですね。すでにチューニングに着手されている、とのことなので、これには期待しております。今後、種類の違う画像を、何枚も同時に作成できるとさらに嬉しいです。

――本日はお忙しいところありがとうございました。これからも SmartJPEG をよろしくお願いします。

事例公開日:2018年11月1日
所属組織、業務内容、写真、インタビュー内容は取材当時のものです。