Androidの画面解像度断片化問題と、iOSの場合

ウェブテクノロジ代表の小高です。
先月に引き続き、CEDEC2014のセッションで発表したTipsのなかから、一つのトピックをご紹介します(情報を一部更新・追加しています)。

Androidの断片化問題(多種多様なスペックの端末があるため、アプリ開発の工数が増大する問題)の象徴的な要素のひとつに、画面解像度があります。今回は、この点について考察してみます。

Androidの画面解像度

以下に、国内で発売された主なAndroid端末の解像度をまとめてみました。

解像度 アスペクト比 Androidの主な解像度一覧(国内発売製品)
480×320 3:2 採用機種少ない(iPhone 3GS以前と同じ解像度)
800×480 5:3 Nexus One, Nexus Sで採用。2010~2011には非常に多かった
854×480 約16:9 2010~2011には非常に多かった
960×540 16:9 2011~2012には非常に多かった
960×640 3:2 採用機種少ない(iPhone 4/4Sと同じ解像度)
1024×600 約16:9.4 Galaxy Tab等一部タブレットで採用
1024×768 4:3 採用機種少ない(iPadと同じ解像度)
1280×720 16:9 Galaxy Nexusで採用。2011末頃~採用多い
1280×768 5:3 Nexus 4(2012)で採用。他機種の採用少ない
1280×800 16:10 Nexus 7(2012)で採用。2011末頃~タブレットそれなりに多い
1920×1080 16:9 Nexus 5(2013)で採用。2013~現在まで、非常に多い
1920×1200 16:10 Nexus 7(2013)で採用。2012~タブレットで多い
2048×1536 4:3 Nexus 9(2014) で採用。他機種の採用少ない(Retina iPadと同じ解像度)
2560×1440 16:9 Nexus 6(2014)で採用。他機種の採用少ない
2560×1600 16:10 Nexus 10(2013)で採用。2013~タブレットに採用されはじめた

解像度という意味では、非常に多種多様なパネルが使われていることがわかりますが、この表をよくよく見てみると、あることに気がつきます。

アスペクト比を小数にして並べ替えてみると…。

16:9=1.777…
1024:600=1.706…
5:3=1.666…
16:10=1.6
3:2=1.5
4:3=1.333…

16:9と16:10の間のアスペクト比の画面が大半なのです(上の表では、アスペクト比の数値が太字になっている部分がそれです)。

UIデザインの際、複数の解像度への対応以上に面倒なのが、異なるアスペクト比への対応です。複数の解像度に対応するには、UIパーツを拡縮すれば済む話ですが(そこにも工夫の余地はありますが)、大きく異なるアスペクト比に対応するには、UIの大きな変更が必要になります。
3:2と4:3のサポートを諦めて、アスペクト比16:9~16:10の場合だけ考慮すれば良いとなれば、UIデザインで考慮しなければならない要素を大幅に減らすことができます。

とCEDECのセッションでは結論づけたのですが、その後発表されたGoogle純正のNexus 9(2014)が、なんと2048×1536(4:3)で出てきてしまいました。前年に発売されたNexus 10より画面寸法が少し小さいとは言え、これまで高精細化してきたなかでは珍しい状況です(解像度だけでなく、DPIも少し低下)。
これはiPad Retinaに合わせてきたということでしょうか。

iOSのアスペクト比問題

Androidの画面解像度というタイトルでお話をしていますが、実はiOSのほうがアスペクト比の乖離が大きくあります。

iOS アスペクト比

iOS アスペクト比

もっとも、同じアプリでもタブレット向けとスマートフォン向けではそもそもUIデザインは別個に用意するべきなので、iPadとiPhoneのアスペクト比が大きく違うことは問題ではないとも言えます。
また、iPhoneにおいては、iPhone 4S以前を切り捨てるならば、16:9に統一できます。

が、タブレット向けアプリで、Android版とiOS版の両方を開発する場合は、(UIをOS別にするのは当然として)iPad用の4:3とAndroid用の16:9~16:10の2種類のレイアウトを用意する必要があります。

Unity Hardware Statistics が10月に更新

前回の記事で、Unity Hardware Statisticsは情報の更新が遅いと書いたばかりですが、早速10月に更新がありました。

http://stats.unity3d.com/mobile/display-ios.html(2018年8月現在でページが無くなっています) を見ると、iPhone 4S以前(960×640)のシェアが半年前より7%減って16.7%となっていました。もっとも、この表を見るとiPhone 6(1334×750)の解像度が0%となっているので、実際には2014/9/19より前の情報のようです。iPhone 6/6Plus発売以降ではさらにiPhone 4S以前のシェアは低下しているものと考えられます。これから開発に着手するiPhoneアプリでは、アスペクト比3:2の機種には対応しないことも充分視野に入れられるでしょう。

タグ , , , , , , , | 2020/06/16 更新 |