「リマスター超解像」に高速エンジンを追加した ImageStudio 8 Ver.8.11 を公開

ImageStudio 8 Ver.8.11.0 画面

こんにちは。OPTPiX ImageStudio 8 プロダクト・マネージャーの小野知之です。

本日、ImageStudio 8 の最新版「Ver.8.11」(Windows版・macOS版) を公開しました。主にアニメーション形式画像対応やマクロ処理機能などにおいて、多数の機能追加と改良を行っています。
その中から本記事では、「リマスター超解像」に新たに追加した高速処理エンジンをご紹介します。

ところで、ImageStudio 8 は2019年8月28日に発売されました。ですので今回は、5周年記念アップデートでもあります。

はじめに : 「リマスター超解像」とは

10~20年ほど前の旧世代ハード向けゲームタイトルを、現行世代のハードへ移植するような場合に必ず問題になるのが、画面解像度の違いです。
特に、旧ハードの画面解像度向けに制作した背景・キャラ・UIパーツなどの画像素材は、そのままでは小さすぎますし、単純に補間拡大するだけではボヤけてしまって使い物になりません。かといって全部描き直すとなると大変な作業量になってしまいます。

そこで、機械学習を用いて「高解像度の状態を推測しながら拡大」する、「超解像」技術を使用します。これにより、「まるで人間が描き直したかのような拡大画像」の自動生成が可能になります。

ImageStudio 8 の「リマスター超解像」は、特にゲーム開発における画像素材向けに独自チューニングした超解像エンジンを使用しています。破綻が少なく、アルファチャンネルもキレイに拡大することが可能です。おかげさまで、多くのリマスター・移植タイトルでご採用いただいています。

【ImageStudio 8 の「リマスター超解像」使用例】
拡大前のオリジナル画像(640x480ドット)
拡大前のオリジナル画像
(640×480 ドット)
単純に4倍拡大した場合 (顔部分のアップ)

単純に4倍拡大した場合
(顔部分のアップ)

「リマスター超解像」で4倍拡大

「リマスター超解像」で4倍拡大
 

こちらの記事も併せてご覧ください :

2つの拡大エンジンの「いいとこどり」でさらに高画質化! 「リマスター超解像」に新機能を追加した ImageStudio Ver.8.9 をリリース

 

リマスター超解像の高速処理エンジンとは

その高品質な拡大性能で高い評価をいただいてきた、ImageStudio 8 の「リマスター超解像」ですが、『処理速度が遅い』という非常に大きな難点がありました。特に、動画の連番画像のように数百枚を一括処理する場合、フルHDを超えると完了までに数十分~数時間もかかってしまいました。
これは、従来のエンジンが「とにかく画質最優先」で設計されていることが大きな理由になります。

そこで今回の Ver.8.11 では新たに「速度優先」に再設計した超解像エンジンを開発し、「リマスター超解像(特殊高速版)」として搭載しました。
画質に関る部分の演算やチェック処理を簡略化すると同時に、連番画像のような「複数まとめて処理する」ケースを想定した処理最適化を行っています。

 

「リマスター超解像(特殊高速版)」の効果

では、従来版の「リマスター超解像」(画質優先)と比較してみましょう。

 

アルファ無し動画の場合

まずは、アルファ無しの動画をフレーム単位で処理してみます。

サンプルは前回同様、Crico株式会社 さんが OPTPiX SpriteStudio で制作したデモムービーをお借りします。
640×320ドット・アルファ無しフルカラーで、260フレームあります。
(※本記事では動画はすべてアニメーションWebP形式にして掲載しています)

サンプル動画データ

 

これを、「リマスター超解像」の「ハイブリッド」エンジンで2倍の1280×640ドットに拡大したものが下記です。

「リマスター超解像」で拡大した動画へのリンク

【クリックすると別タブで拡大再生します】

 

処理時間は、下記のようになりました。(使用GPU: NVIDIA GeForce RTX3060 / 12GB)

使用エンジン リマスター超解像 リマスター超解像
(特殊高速版)
速度差
特殊
(Clear RealESRGAN)
16分41秒 ⇒ 7分32秒 2.21倍
ハイブリッド 19分52秒 ⇒ 10分28秒 1.90倍

この例では、従来のエンジンと比較し、およそ半分以下の時間で処理が完了しました!

画像の内容やサイズなどの条件で結果は変わりますが、このような「アルファ無し動画」の場合はおおむね2倍~3倍程度の高速化が期待できると思います。

なお、このサンプルの場合、従来版と高速版での画質の差は、ほぼありませんでした。(※サイズが大きいので掲載は割愛させていただきます)

 

アルファ付きアニメの場合

続いて、アルファ付きアニメーション画像の場合も比較してみましょう。

サンプルはこちら。256×256ドット・アルファ付きフルカラー、40フレームです。

256x256ドット・アルファ付きフルカラー、40フレームのアニメーション画像

 

これを、「特殊 (Clear RealESRGAN)」エンジンで4倍の1024×1024ドットに拡大した結果が下記の画像です。透明協会部分にわずかに差が出ますので(ほぼ変わりないですが)、両方の結果を掲載しておきます。

「リマスター超解像」の結果
「リマスター超解像(特殊高速版)」の結果

リマスター超解像サンプルへのリンク

【クリックすると別タブで拡大再生します】

リマスター超解像(特殊高速版)サンプルへのリンク

【クリックすると別タブで拡大再生します】

処理時間は、下記のようになりました。(使用GPU: NVIDIA GeForce RTX3060 / 12GB)

使用エンジン リマスター超解像 リマスター超解像
(特殊高速版)
速度差
特殊
(Clear RealESRGAN)
6分21秒 ⇒ 33秒 11.55倍
ハイブリッド 6分41秒 ⇒ 1分08秒 5.90倍

このサンプルでは、最大で10倍以上もの高速化を実現しました!

 

今回の高速エンジンのポイント

今回の「リマスター超解像(特殊高速版)」は、

  • 複数枚まとめて処理するほど効果が高い
  • 小さい画像を拡大するときほど効果が高い
  • アルファありの画像のほうが効果が高い

という特徴があります。

なお、「リマスター超解像(特殊高速版)」は、速度優先に設計しているため、画質については従来版の「リマスター超解像」に劣るケースも、稀に発生します。差は非常に小さいと思いますが、もしどうしても気になる場合は、制作途中では「リマスター超解像(特殊高速版)」を用い、最終マスター制作時に従来版の「リマスター超解像」で画質優先で処理する、という使い分けが良いと思います。

 

さて、次回は…

というわけで、動画の連番画像における「リマスター超解像」の使い勝手が大きく向上した ImageStudio 8 なのですが・・・。大きな課題がまだ残っています。

よく、こう言われるのです。

「なんで連番画像にしないと読み込めないの? 動画ファイルを直接読み込めないの?」

・・・まったく、ごもっともです。

OPTPiX ImageStudio / imésta シリーズは、初代発売から27年間、ずっと「画像」処理ツールとして進化を続けてきました。アニメーション形式(アニGIF等)には対応してきましたが、動画ファイル(AVI等)に対応する機会が今まで無かったのです。

そこで現在、動画ファイルを直接 ImageStudio 8 で読み込めるように、機能強化しています。秋ごろにアップデートで提供開始する予定ですので、もうしばらくお待ちください。

また、「リマスター超解像」をお試しになりたい方は、いつでも ImageStudio 8 無料トライアルを是非お申し込み下さい!

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