ゲーミフィケーション 2012年 流行語大賞?

「ゲーミフィケーション」

ソーシャルゲームの流行に合わせるようにして、最近よく耳にし、目にする言葉です。
携帯向けのゲームが流行ることでゲームをする人が再び急激に増加してきました。

そんな中で、2011年1月25日に発売になった、ゲーミフィケーションの書籍
『ゲーミフィケーション ~〈ゲーム〉がビジネスを変える』[井上 明人, 2012] を読了。
本を読み進めるうちに、2011年9月のCEDEC の会場でもゲーミフィケーション関連の書籍がならんでいたことを思い出しました。

『ソーシャルゲームはなぜハマるのか ~ゲーミフィケーションが変える顧客満足~』[株式会社ゆめみ 深田 浩嗣, 2011]こちらも読了。
さらに日経新聞の3月22日15面では「ゲーミフィケーション」に関する特集が組まれ、4月1日 19面でも大きく取り扱われていました。

このブログを読んでいらっしゃる方の中にも気になっているものの、まだ読んでいない方がいらっしゃるのではないでしょうか。そういう方のために、内容を分かりやすくまとめてみたいと思います。

「ゲーミフィケーション」の定義

まずは「ゲーミフィケーション」の定義から
3月22日に日経新聞には以下のように解説されています。
「人を熱中させるゲームの楽しさを、仕事上の課題解決などゲーム以外の分野に応用し役立てる手法」
他の記述を見ても、おおよそ、「ゲーム」の手法を「ゲーム以外に」応用することを指しています。

GREE やDeNA が爆発的にユーザーを獲得してきた理由として、ゲーミフィケーションという手法が使われていると解説しています。これが、従来の「ゲーム」という範囲を超えて利用されることで、社会に貢献できるのではないかというのが著者に共通する主張です。

『ゲーミフィケーション ~〈ゲーム〉がビジネスを変える』

『ゲーミフィケーション ~〈ゲーム〉がビジネスを変える』[井上 明人, 2012] では、著者の井上明人氏が昨年の震災直後にリリースした「#denkimeter」という節電ゲームの紹介からスタートします。節電と言うリアルの世界の課題解決をゲーミフィケーションで加速させたものです。

前半では、オバマ氏の大統領選、ナイキプラス、ディズニーリゾートにおける従業員(9割がバイト! にも関わらずあのサービス)の例などを挙げ、ゲーム以外の場面での実例を解説しています。後半では、ゲーミフィケーションの要素を分解し、それぞれの要素をどのように実社会で利用すれば良いのかを考察しています。学習の場や、マーケティングなどの比較的ゲーミフィケーションを応用しやすい実例から、組織の運営に至るまで、ゲーミフィケーションを利用することで、様々な場面での可能性を提案しています。

関連リンク

節電ゲーム「#denkimeter」 の遊び方
http://www.denkimeter.com/1st.html
余談ですが、こちらの説明に「コミPo!」が使われていて、ちょっとびっくり。

 

『ソーシャルゲームはなぜハマるのか ~ゲーミフィケーションが変える顧客満足~』

こちらの書籍はCEDEC2011 の会場で見かけました。
注目を集めたセッションの一つ
『「基本無料」時代のマネタイズと事業戦略
~ウェブ × オンラインゲーム × ゲーム、プロの頭の中にあるものは~』
著者の深田浩嗣さんがパネリストとして、この書籍を紹介していたので記憶に残っていました。

「1本300円の仮想釣りざおにお金を払ってしまう理由とは?」という帯の文言が興味引き、敷居が低そうに見えますが、かなり読み応えがありました。分かりやすく言うと大学の教科書のようなボリュームと内容。結構深いところまで解説しています。

本文中では、ソーシャルゲームがハマる理由をゲーミフィケーションという観点から分解し、熱狂的なユーザーを集めた、「釣り★スタ」と「怪盗ロワイヤル」を実例として挙げ分析しています。特に、心理学的な分類が印象的で、多くの方々に遊んでもらうための普遍的な「人」としての欲求と絡めて説明しています。

ソーシャルゲームの中で疑似人生を経験させていると解説し、リアルの世界ではできなくても、ゲームの世界で達成できる快感を、より身近に、ちょっとした時間で得られること、さらにちょっとお金をかけるとその快感をすぐに得られることに、ポイントがあると説いています。

またバートルによるプレイヤーの分類として以下の4つを紹介しています。

  1. アチーバー(Achiever)
  2. エクスプローラー(Explorer)
  3. ソーシャライザー(Socializer)
  4. キラー(Killer)

それぞれの言葉の定義やこの分類を使った詳細は、本書を読んでいただくとして、これまでは「ソーシャライザー」が楽しめるようなゲームが無かったんだと気づきました。そして、ここをくすぐるゲームとしてソーシャルゲームが爆発的にユーザーを獲得したのだと思います。アンケートに頼るのではなく、これがおもしろい!というプロデュース側のある種「思い込み」から、新しいエンターテインメントが提供されたわけです。

まとめとなる第11章では「ゲーミフィケーションのデザイン」と題して、ゲーミフィケーションの要素をどのように適用すると上手く行くかを解説しています。そのままゲーム設計に利用できるものですが、「ゲーム以外」に利用することが筆者の目的です。そう思って読んでいくと、職場や家庭で応用できる場面が次々と思い浮かびます。これがゲームにある「価値」だと思います。この「価値」は「楽しさ」と言い変えられると思います。その「楽しさ」が社会を良い方向へ変える可能性は非常に高いと改めて認識できました。

関連リンク

株式会社ゆめみ
http://yumemi.co.jp/

(TOM)

タグ , , , , | 2020/06/16 更新 |