1700ブランドから集まる1億枚を超える画像を、お任せできる安心感

バニッシュ・スタンダード|VANISH STANDARD
https://www.v-standard.com/

STAFF START
https://www.staff-start.com/

バニッシュ・スタンダードは、「店舗を存続するEC」を目指し、2016年9月より店舗スタッフをDX化させる“スタッフテック”サービス『STAFF START』(スタッフスタート)の提供を開始した。ECサイトとSNSを融合させ、販売スタッフが気軽にレビューやスナップ写真を投稿できると同時に、それがどう販売につながったか実績測定にも利用。スタッフ1人1人のEC売上に加え、個人のSNSを経由した集客・売上まであらゆる実績を測定できるという。

アパレル企業を中心にサービスを提供し、導入企業は1700ブランド、利用スタッフは10万人を超える。当然その扱う画像点数も厖大だ。そのため画像データはすべて『SmartJPEG』によって最適化されているという。今回はバニッシュ・スタンダードに、『STAFF START』の現状、同社の目指す“スタッフDX”の未来像、そして『SmartJPEG』の活用効果などについて聞いた。

株式会社バニッシュ・スタンダード
テックリード 小林伸隆氏
取締役Chief eXperience Officer 大貫BoB隆之氏
株式会社CRI・ミドルウェア
第3営業部 セールスリード 三上 夏代

実績を可視化して、報酬として店舗スタッフに還元できるようにしたい

―― 本日はよろしくお願いします。まず御社の主力サービスについてお聞かせください。

大貫氏:
弊社の『STAFF START』ですが、ものすごくシンプルにいうと、小売 やサービス業の店員さん・スタッフ向けのサービスになります。スタッフの手元のアプリケーションから、記事や動画や写真を投稿すると、自社ECサイトにコンテンツとして掲載されます。それだけだと他社サービスと差異がありませんが、そのコンテンツ経由でモノが売れた場合に、どの店舗のどの販売員の投稿から売れたかを、実績として計測できるんですね。投稿のPVよりコンバージョンに着目しており、当然ランキングなども行えます。

目指している世界としては、「年収一千万円の店員さんを生み出すこと」と考えています。SNS投稿などですごく頑張っている店員さんを正しく評価できるようにしたい、実績を可視化して報酬につないで還元できるようにしたい、そういうことを目指しています。『STAFF START』はおかげさまでこの6年近く、順調に成長しています。

株式会社バニッシュ・スタンダード
取締役Chief eXperience Officer
大貫 BoB 隆之 氏

―― 顧客企業さんのECサイトもさまざまだと思いますが、どういう形態でサービス提供しているのですか?

小林氏:
アパレル企業など各社さんにはAPIを提供しているので、『STAFF START』のトラフィックは当社に発生します。画像も多く、そこでの負荷軽減を図るために『SmartJPEG』の導入を決定しました。

スタッフの投稿段階では、一般的なフォームやアプリ同様に、コーディネートの写真にさまざまなタグを付けて投稿するようになっています。これらのデータはすべて弊社側で持っています。一方、実際の表示段階では各社のデザインやUIが異なりますので、そこは各社ECサイト側でフロント部分は実装し、全部API連携で受け渡し処理しています。ECサイト側が重くならないよう、URLを受け渡して軽量化された画像をそのまま埋め込み表示する形ですね。

株式会社バニッシュ・スタンダード
テックリード
小林 伸隆 氏

―― そうすると御社側が保持するデータが、かなり厖大な量になっていそうですね。

小林氏:画像の数は億を超えていますし、コーディネート投稿だけでも1千万ぐらいあると思います。APIはデータ量が増えればパフォーマンスが落ちてくるので、システム全体を効率化するために、データ構造を見直したりして随時チューンしています。

そうしたなか、画像データについてはSmartJPEGを使わせてもらっています。具体的にはAWS のLambda(ラムダ)上で『SmartJPEG for Lambda レイヤー』を動かしています。ちなみに動画データには『CRI LiveAct®』を活用しています。

―― 各社で画像のこだわりポイントが違うと思うんですが、そのへんにはどう対応していますか?

小林氏:
それは各社さんの実装におまかせしています。『STAFF START』でいじったりといったことは特にやっていませんが、ブランドイメージやコーディネートによる商品訴求のため、高画質で重たい画像が投稿されることが多く対応に悩んでいました

導入前:見た目が悪化する恐れがあるため画像圧縮ができず、データ転送のためのコストがかさんでいた

―― SmartJPEGの導入の経緯などをお聞かせください。

小林氏:
2020年後半にベイクルーズさんと商談しているときに、SmartJPEGが話題になり紹介してもらいました。やはりコストのうち画像データの転送量がかなりを占めていたので、なんらかの削減をしたいな、と思っていたからです。

それまでコーディネート画像とかはクオリティを下げたくないので、ImageMagickでのリサイズのみで圧縮は行っていませんでした。画像サイズが大きいため、代替手法を模索していたところでした。

そういうわけで同年の12月に初顔合わせをして、翌2021年1月には比較データを作成して検証を始めました。このときベイクルーズのスタッフ投稿のデータ容量が30%まで削減できたことに驚きました。

―― ゴールとして具体的な数値などはあったんでしょうか?

小林氏:
コストメリットがでることはもちろんですが、見た目が悪化しないことは求めました。CRI・ミドルウェアさんがLambdaレイヤー版を開発されているタイミングでもあったので検証を続けて、正式に導入したのは2021年6月ごろになります。組み込みも容易に行うことができました。

三上:
当初はEC2で利用するバージョンをご案内していたのでが、「Lambdaで動くとうれしいよね」という話が出て、私たち(CRI・ミドルウェア側)も開発を加速させたという感じですね。

小林氏:
ImageMagickもコマンドラインで使っていたわけではなかったため、元々のシステム構成だとSmartJPEGが載せられなかったので、とにかく使えるようになるのを待っていました。あと最適化が終わって画像が出てくるまでに若干のタイムラグが発生するわけですが、それは望ましくないので、一時的にオリジナル画像を表示しておいて処理が終われば差し替えするような構造を工夫しました。

1700ブランドのどんな画像でもお任せで期待に応えられる安心感

―― 導入の決め手はなんだったのでしょうか。

小林氏:
お客様からみたらコーデ画像も商品画像もそのブランドイメージに直結しますから。アパレルECの高画質で重めの投稿画像を「きれいに軽くする」というのは本来、神経を使うところです。そこを、SmartJPEGにお任せすることで、各社が期待する画質を担保しつつ、その中で最大限に軽くできるので助かりました。軽くなっても魅力的に見えるコーディネート画像じゃないと本末転倒ですしね。

導入後:画質を維持したまま、AWSの利用料金もコストカット

―― SmartJPEG導入後の手応えはありましたか?

小林氏:
画像を最適化しても、弊社側からは各社のサイトにAPIでURL提供しているだけなので、正直実感はありません(笑)。また画質の変化について各社さんから問い合わせが来るということもありませんでした。ただ、表示のためのデータ転送量はかなり減ったので、表示速度もあがったはずです。
あと、使用して1年経ちましたがトラブルも無く安定稼働できているのもよかったです。

保存データ量が削減されたかどうかについては、弊社サービスが成長して全体の取り扱いデータ量が増えるのと、SmartJPEGの圧縮効果で削減されるのと、抜きつ抜かれつでなかなか単純比較できないんですよね。それでも、リニアに増えていたAWSの利用料金の伸びを抑えられた実感はあります。SmartJPEGはデフォルト設定のままで使っていますけれど、十分に機能しています。

実は企業さん側にSmartJPEGの導入を個別に連絡していないので、変化に気付かれていないのかもしれません。表示速度的にも、速くなったことに気付かれないのが、ちょっと歯がゆいところです。

三上:
画質に関しては、むしろ変わったと気付かれないのが、SmartJPEGの誇るべきところです。

小林氏:
AWSなので、保存量よりも転送量が減ってくれるのが弊社にとっては大きなメリットですね。

三上:
今年(2022年)からは、ARM64対応のLambdaレイヤーのご提供を始めました。ARM64版では、Lambdaの利用料金だけでなく、電力消費も大きく削減できるんですよね。SDGs的な貢献もできていると思います(笑)。

今後のSTAFF STARTについて

―― STAFF STARTの今後の戦略についてお聞かせください。

大貫氏:
画像が関わるような機能でいうと、リアル店舗のデジタルサイネージなどに、スタッフコーディネート画像を配信するといった仕組みができないか考えています。同じ店舗にいるスタッフさんが投稿したコーディネートが、店頭で表示されるわけです。

この取材の後、バニッシュ・スタンダード社は、全国のショッピングモールで働く専門店スタッフがSTAFF STARTを通じて発信するおすすめの商品やコーディネートの提案などを、館内に設置されたデジタルサイネージに配信するという取り組みを開始しました。

~スタッフDXアプリケーションサービスを活用した新たな取り組み~「デジタルサイネージを活用した専門店スタッフによるおすすめ商品やコーディネート提案」の配信を開始

それ以外では、教育系コンテンツに力を入れていきたいと思っています。あるいはスタッフさんの得意を見極めて、アプリ宛にアドバイスを送るとか。スタッフさんのモチベーションがより上がるような仕組みを取り入れたいですね。

当社が目指しているのは、スタッフさんがより活躍して、所属企業さまから評価を受けて、ますます活躍できるという好循環を作り出すことです。ユーザーの声を反映しながら、EX(Employee Experience=従業員の成功体験)を向上させる仕組み、サービスを提供していきたいと考えています。

―― SmartJPEGに対してご要望があればお聞かせください。

大貫氏:
いまのSmartJPEGってコマンドのWrapper になってると思うんですが、ライブラリになっていると呼び出しが軽くなって良いかな。いずれDLLとかでも提供してほしいですね。

とりあえずECにおいて写真は非常に大事ですし、ビジュアルに力を入れることは間違いないです。当然STAFF STARTでもそこは変わらないですね。

三上:
SmartJPEGは、ユーザーのみなさんの声を元に製品を進化させていますので、このご意見も参考にさせていただきます。ありがとうございます。

―― 本日はありがとうございました。

取材日:2022年6月9日
事例公開日:2022年8月30日
所属組織、業務内容、写真、インタビュー内容は取材当時のものです。

関連リンク

CRI・ミドルウェア
https://www.cri-mw.co.jp/

SmartJPEG(スマートジェイペグ)
https://www.webtech.co.jp/smartjpeg/