田中圭一のゲームっぽい日常 物書きたちよ、今こそルネッサンス!

k1201501昨年も冬コミに参加してきた。アマチュアが、作りたい本を自由に作って売るという同人誌即売会では、じつに様々な本やグッズが並び、見ているだけでも本当に楽しい。

さて、コミケに古くから参加している友人は「コミケ会場ではここ数年、目立ってユニークな本が増えてきた。」と言っていた。

出版不況が叫ばれる中、街の書店では「売れ線」の本はひしめき合って並ぶが、一方で「こんな本、どこにニーズがあるの?」といったニッチな企画本は、めっきり姿を消した。まぁ、不景気だし、売れるかどうかわからないような企画本は、出版社でもOKが出ないであろうことは、想像に易い。当然、書店としても同じだろう。売り場面積が限られているわけだし、確実にヒットしそうな本しか置かない、それが商売のセオリーだ。

だが、奇抜な企画、ユニークな発想の本は、新たなムーヴメントを呼び起こす大切な「種」だ。見たこともないような企画本を多く出してこそ、出版業界の将来につながるというもの。出版不況は、まさに負のスパイラルに入っている気がしてならない。

さて、一方、前述のようにコミケ会場ではここ数年面白い本が増えているという。私の周囲でも、いままで同人とは無縁だった編集者やライターが続々と同人デビューしている。

もちろん彼らの作る本は、アニメやマンガキャラのエロい本ではなく、彼らが本当に作りたいユニークで奇抜な企画本だ。そこからは作り手の「生き生きとしたヤル気」がオーラのように放出されていて、読んでいて本当に楽しい。

最近、Kindleに続いて楽天もセルフパブリッシングの仕組みを提供すると発表した。こうなると「作りたい本を電子書籍で作って自分で販売する流れ」がイッキに加速しそうだ。

コミケで増えてきた「面白い本」たちは、これからは電子書籍として世界中の人たちに売ることができる。
昨今の出版不況は、次なる時代への陣痛なのかもしれない。

タグ , | 2020/06/16 更新 |