田中圭一のゲームっぽい日常 ふたつの仕事を同時に持つのは大変なのか?

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かれこれ30年近く、サラリーマンとマンガ家の二足のワラジを履いている。
ず~っと年間365日休みなく働いている。
月曜~金曜は会社勤め、土日は自宅でマンガの原稿執筆…これが私の普通の一週間だ。

ごくごくたまに(2年に1回くらい)仕事のない土日が来るのだが、そんな時はなぜか不安な気持ちになる。日曜日の夜になると「ああ、なにもしないまま土日が終わってしまった。」と空虚な気持ちになってしまう。土日なんだから、なにもしないで休めばいいはずなのに、である。

さて、こんな二足ワラジを履く私を周囲の人たちは「たいへんですよね。よくできますよね。ホント尊敬します!」とリスペクトしてくださる。

とても光栄なのだが、こんな時いつも私はこう答える。

「いやいや、そんなこと全然ないですよ。サラリーマンとマンガ家の兼業なんて、子育てしながら働いている女性に比べたら楽な仕事です。」

こういうと、決まって「ま~たまた!田中さんってば、女性の票を稼ごうとして、まったく。」と返ってくる。そんな意図はまったくない。本心からそう思っているのだ。

考えて欲しい。ギャグマンガの連載なんて、1作あたり長くても5年~6年くらいだ。最悪どうしても続けられない場合は自分の意思で辞めることができる。さらに原稿執筆はスタートする時間も終わる時間も、自分でコントロールできる。

一方、子育ては365日の24時間営業に近い仕事だ。子供が病気になるなどの突発的な仕事も差し込まれるし、なによりも辞めたくなっても辞めるわけにはいかない。3人連続で子供を産んで育てて、そのうえ会社で働いている独身女性は、私が住む東京都豊島区に何十人もいるだろう。兼業マンガ家なんかよりはるかに多い。
そういう人たちが私よりも大変じゃないように思われているとしたら、それはとんでもない話だ。

なので、本心からこう思う。「子育てしながら働いている女性は田中圭一よりはるかに上。」…なんとなく、サイテーお下劣下ネタパロディマンガ家より上、と言われるのは気の毒な気がしないでもないが…まぁ、とにかく、働くお母さんに栄光あれ!!

タグ , | 2020/06/16 更新 |