導入事例

SEGA Game Jamがもたらした組織活性化の効果
34時間でネットワークアクションゲーム開発に挑戦!

スキルも経験もまちまちな参加者が即席チームを作り、ある特定のテーマにしたがって、数十時間でゲーム開発を行う「Game Jam」。
ギネスブックにも認定された世界最大のGame Jam、「Global Game Jam」をはじめ、世界各地でさまざまなスタイルのGame Jamが開催されています。

さらに近年では、社内研修や福利厚生などの一環として、ゲーム会社単位で開催される例も見られるようになってきました。セガ社内で2012年7月から不定期で開催されているSEGA Game Jamも、その一つです。

しかし、数十時間という限られた時間でゲームを完成させるには、開発環境の整備が欠かせません。そこで重要になるのが開発ツールです。SEGA Game Jamでも汎用2Dアニメーションデータ作成ツール『OPTPiX SpriteStudio』が採用され、UI構築やキャラクターアニメーションに活躍しました。

インタビューの様子

SEGA Game Jamとは

SEGA Game Jamはもともと、Global Game Jamなどに参加していた社内有志の声がけで、業務外活動の一環としてスタートしました。2012年7月から年に2回程度、三連休の二日を使って、これまで4回開催されています(2013年12月現在)。

参加者は5名前後のチームを構成し、34時間でゲーム開発に挑戦。企画会議からα版、β版、マスターアップと、実際の業務と同じスタイルで開発が行われます。なお、第4回目ではおそろいのTシャツも支給され、参加者の一体感が高まりました。

2013年7月に「迷惑行為」をテーマに開催された第3回目では、互いに相手の陣地に罠を仕掛け合うネットワーク対戦ゲーム『ワナワナ』。 (画像クリックで動画を再生)

びばしばエビ

11月に「芝エビ」をテーマに開催された第4回目では、文字通り芝エビのキャラクターを操作するアクションゲームなどで、『OPTPiX SpriteStudio』が活用されました。

SEGA Game Jamではゲーム開発の大作化が進む中で、「作業員」になりがちな現場開発者のモチベーションアップ、新人教育、個々人のスキルセットの再確認や不足している能力の気づきなどを目的に掲げています。参加者の満足度も非常に高く、大多数がGame Jamの経験が業務に活かせると感じたとのこと。
中途採用者や部署間の交流促進といったメリットも見られました。

なお、SEGA Game Jamの詳細はゲーム開発者向け国際会議「CEDEC2013」で講演され、電子資料館の「CEDiL」でも資料が公開されています。

開発ツールの中心は「Unity」

開発ツールで中心となったのはゲームエンジンのUnityでした。
業務外での試みということもあり、内製のゲームエンジンやツール類が使用できなかったためです。

その結果

  • すでに多くのナレッジが共有されている
  • WindowsとMacの混成チームによる開発に対応している
  • バージョン管理が比較的容易

――などの理由から、Unityが多く選ばれました。

もっともゲームエンジンについては、回を重ねるごとに多様化する傾向が見られたそうです。
第4回目では全5チームのうち、Unityが3チームでしたが、enchant.jsが1チーム、PS Mobile SDKが1チーム存在したそうです。

株式会社セガ 村上 健治氏株式会社セガ 村上 健治氏

同社プログラマで、SEGA Game Jam旗振り役の一人でもある村上健治氏は「各チームで1-2名はUnity初心者がいるのですが、最終的にUnityに落ち着くようです。もっとも、せっかく業務外なので、ふだん使っていないゲームエンジンやツールを使ってみたい参加者もいると思います」と語りました。

株式会社セガ 堤 靖典氏株式会社セガ 堤 靖典氏

同じくプログラマの堤靖典氏は「PS Mobile SDKの使用については、チームでメインプログラマを務めた参加者の強い推薦がありました。まだ新人のプログラマでしたが、自分でレベルエディタまで作ってしまうほどの実力の持ち主で、みな驚かされました」と語りました。このように隠れた才能の発掘にも、Game Jamは向くとのことです。

OPTPiX SpriteStudioは「Game Jamに向いている」

同じ理由から2Dアニメーションデータ作成においても『OPTPiX SpriteStudio』が採用されることになりました。

株式会社セガ 麓 一博氏株式会社セガ 麓 一博氏

社内でツール整備を担当しているテクニカルアーティストの麓一博氏は「社内ツールと同じ手軽さでデザイナーが導入できた」と評価します。また、内製ツールはWindows専用であるため、Macで使用できる点もGame Jam向けだと言います。

堤氏も「公式サイトでアップされている使い方のムービーが非常に参考になり、いきなり触ってアニメーションが作れたのは画期的」だといいます。特にGame Jamでは開発期間が短いため、ツールの導入でつまずくと、大きなロスが発生します。『OPTPiX SpriteStudio』は導入コストの低さを特長の一つに掲げており、この点が実証されました。

また麓氏によると、2Dキャラクターがアクションするようなゲームを業務で作成する事例が減少しており、社内ツールもUI制作を重視した内容になっているそうです。

しかしGame Jamのような短期間開発では、3Dのキャラクターモデルを作成したり、アニメーションをつけたりする時間が割きにくい事情があります。そのため『OPTPiX SpriteStudio』による2Dキャラクターのアニメーション作成機能が重宝されたと語りました。

このほか参加者によっては、業務外での開発だからこそ、2Dキャラクターのゲームを作ってみたいという思いもあったのでないか、とも語ります。
一方で開発期間が短いからこそ、もっと生産性を上げる機能を加えて欲しいという要望も出されました。

具体的には

  • 複数のパラメータを一括で設定できるようになるといい
  • ショートカットキーを間違えることが多かったので、Photoshopをはじめとした、現場で良く使用されているツールと共通化されるといいのでは
  • グラフエディタの操作性を向上させて欲しい
  • より多くのゲームエンジンと連携対応をして欲しい

――などです。

こうした要望については、バージョンアップの修正要項にリストアップされており、ウェブテクノロジとしても順次対応しておきたいと話されました。

このほか『OPTPiX SpriteStudio』のスクリプト機能についても、興味深い議論が展開されました。
もともと家庭用ゲーム機向けに開発された『OPTPiX SpriteStudio』ですが、現在ではソーシャルゲーム開発など、ウェブ業界でも採用事例が増加しています。

ウェブ業界ではFlashによるコンテンツ開発が浸透していることもあり、ウェブデザイナーがActionScriptを記述する例も少なくありません。そのため『OPTPiX SpriteStudio』が実装する任意のスクリプト組み込み機能についても、それほど違和感なく使用されています。

しかし、家庭用ゲーム開発ではアーティストとプログラマの分業体制がしっかりしているため、アーティストがスクリプトを記述する文化がありません。UIデザインなどでも、スクリプトが組めるゲームデザイナーかプログラマが、アーティストと二人三脚で作成する例が一般的です。
そのため『OPTPiX SpriteStudio』のスクリプト埋め込み機能についても、ノードベースのビジュアルプログラミング的な記述法の方が、親和性が高いのではないか、というわけです。

他に『OPTPiX SpriteStudio』向けのアセットストアなどのアイディアも飛び出しました。いずれも今後の進化を占う上で、興味深いトピックだったといえるでしょう。

今後もGame Jamを継続していきたい

セガでは今後もSEGA Game Jamを継続していく方針です。短期間で一本のゲームを作ることで、さまざまなイノベーションが発生したり、参加者それぞれで気づきが得られたりするからです。

第4回目ではエビの足とキーボードの操作を対応させ、10本の指すべてを使って操作するようなゲームも登場したとのこと。そこから転じて、モーションセンサーデバイスのリープモーション対応などのアイディアも飛び出しました。これらは普段の業務では出にくい、Game Jamならではの長所だと言えるでしょう。

また、プログラマがアーティストを担当したり、アーティストがゲームデザインを担当するなど、ふだんの業務とは違う挑戦ができたり、ツールを使用することができる点もポイントです。

第4回目では開発職以外の社員がGame Jamに参加する例もみられました。
総務部の女性でしたが、企画会議やテストプレイだけでなく、アーティストとして素材制作も体験。人生で初めてのゲーム開発を通して、ふだんの業務ではわかりにくい開発職の実態や、クリエイターのゲーム開発にかける思いなどを、より深く知ることができたそうです。

一方でツールベンダーにとっても、短期間でゲーム開発を行う中で、実際に現場で求められる機能や、ツールの改善点といった情報が、数多く得られる点も収穫となります。そのツールだけを使っているのではわからない、他のツールと連携をする上で陥りがちなトラブル事例なども、現場の開発に即した形で収集できます。

実際に第4回目の開発で、キャラクターを構成する各パーツを『OPTPiX SpriteStudio』で一括縮小した際、『OPTPiX SpriteStudio for Unity』上のプレビュー画面と実際のUnity上で、見え方が異なってしまったことがありました。
『OPTPiX SpriteStudio for Unity』上では正しく縮小されたものが、Unity上では一部のパーツが縮小されておらず、修正に時間がかかったそうです。こうした操作ミスを起こしにくい設計を進める上でも、Game Jamでのテストは重要だといえそうです。

ヒアリングの最後に、ウェブテクノロジ側から「今後もさまざまな形でGame Jamを応援していきたい」と語られました。『OPTPiX SpriteStudio』では別途インディーゲーム開発者向けに『OPTPiX SpriteStudio for Indie』として、特別ラインセンスを発行しており、Game Jamで使用しやすい環境が整えられています。一社でも多くの社内Jamが開催されることを期待してやみません。

Text by 小野憲史(Kenji Ono)

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