コンシューマゲーム機のフラグシップとして、また地デジレコーダーを純正周辺機器に追加するなど家電としても大人気なハードが"PlayStation®3(以下、PS3)"。同プラットフォームでは、海外市場を意識したリアル志向なゲームが主流、そして国内でも徐々にそんな雰囲気・・・。
そんな中、あえて日本的なゲームを作りながらも、鮮烈な印象を残すタイトルを高い完成度で市場に送り出しているのが、アイディアファクトリー株式会社様。
日本的なこだわりは単なるアニメ調のデザインだけではなく、古きよきドット絵を、現代的なゲームの見せ方とアニメ的演出を組み合わせることで、3D全盛の現代ゲーム市場においても全く見劣りしないレベルまで昇華しつくしています。
こだわり・・・とは言え、もはや執念すら感じる演出も。
さてそんな本作ではその製作工程の中心に、OPTPiX SpriteStudioをご活用いただいたのですが、今回はなんと、アイディアファクトリー株式会社様のご好意で、実際にOPTPiX SpriteStudioを使用したアニメーションの製作工程を、動画で頂戴しました。
パラパラアニメはもちろん、補間アニメーション作成、ボタンなどのUI作成などなど、携帯ゲーム機からスマートフォン、最新のコンシューマゲーム機で採用事例多数な『出力先を選ばない汎用性』が売りの2Dアニメーションツールです。
まず驚かされるのが、キャラクターの頭が複数のパーツに分かれていること!顔自体のパーツは顔の向きごとに17種類もの別パーツとして用意、このパーツをOPTPiX SpriteStudioの機能、「参照元オフセット」を使用して時間軸に合わせて切り替え。
対して、髪の毛のパーツは顔の向きに関係無く4種類。上記の動画では、顔の向きのアニメーションを指定後、これを顔の向きに合わせて「直線補間」・「頂点変形」・「回転」させることで、キャラクターのイメージを破綻させることなく、スムーズなアニメーションを実現しています。デザイナーの方いわく、アニメーションの密度を上げれば上げるほど、違和感の無いアニメーションを作り込むことができるとのこと。
もちろん、顔のアニメーションだけではありません。
キャラクターの立ち姿勢から構えへの姿勢も同様にキーフレーム方式。人体を構成するパーツを担当デザイナーの方曰く、基本的にどの登場キャラクターも四肢単位で分割、四肢関節の分解だけでは表現できない動き、例えば「つま先立ち」などはつま先を別のパーツとして更に分割。
これらのパーツそれぞれに、回転や頂点変形(※)をほどこし組み合わて、躍動感のあるモーションを作成しています。(※上記の動画では、ひらめくコートの裾、がそれに当たります)
このモーションをキャラクターパーツを分割せずに、全てのアニメーションパターンを描くとしたら・・・正に 気が遠くなる作業になることは想像に固く有りません。
さて今度は、キャラクターの動きに合わせたエフェクトアニメーションをご紹介しましょう。
くるりと回転するキャラクターが持つけん玉状のアイテム。回転に追従する形でぶら下がっているボールがしっかりと遠心力と重力の影響を受けているかのごとくアニメーションしていることに目がいくのですが、ご注目いただきたいのは、そのボールが描いた軌跡に沿って光るエフェクト。
このエフェクトは、まず単体の光の明滅アニメーションを作成した上で、時間軸に沿う形でそのアニメーションを次々とコピー。
あとは光のオブジェクト自体の位置を微調整することで、回転を追いかける光のエフェクトが完成。エフェクトなど、再利用性の高い部品を上手に使う、大変素晴らしい例です。
デザイナーさん入魂のキャラクターが大暴れする戦闘シーン。PS3などの高性能コンソールにおいてはリアルなビジュアル先行のタイトルが多い中、日本人の職人芸を存分に発揮しています。(中にはOPTPiX SpriteStudioの開発者も想定していなかった表現も!)
『アガレスト戦記2』では、OPTPiX SpriteStudioを使い切る勢いで、ご採用いただきました。デザイナーさんのセンスはもちろんのこと、恥ずかしながら現在のOPTPiX SpriteStudioでは使い勝手が今ひとつだった部分を補うツール(※)を、デザイナーさん自らが開発してくださるなど、OPTPiX SpriteStudioの機能追加・改良のヒントを多数頂戴した上に、なんとエンディングのスタッフロールにOPTPiX SpriteStudio開発陣の名前まで!(是非、『アガレスト戦記2』をプレイしてご確認ください)
この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
アイディアファクトリー株式会社様がOPTPiX SpriteStudioの導入に至った経緯について。こちらは2009年の8月にGameBusiness.jp様のページにて、今回ご紹介した開発工程の動画をご提供くださいましたデザイナー氏2名のインタビュー記事が掲載されております。こちらもぜひご覧ください。
今回は"PlayStation®3"での採用事例をご紹介いたしましたが、OPTPiX SpriteStudioでは引き続きプラットフォームを選ばない汎用的な機能を多数ご用意、随時追加して参ります。応用範囲の広い2Dスプライトアニメーションデータ作成ツールOPTPiX SpriteStudio。是非、お試しください。
Copyright ©2010 COMPILE HEART / RED All rights reserved.
*株式会社コンパイルハートはアイディアファクトリー株式会社のグループ会社です