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田中圭一のゲームっぽい日常 「お祭り」という体験を買ってもらうために

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ネットの動画投稿サイトの影響で音楽CDが売れなくなり、多くのミュージシャンはライブによるマネタイズに活路を見いだした。ライブを増やすことでファンとの距離を縮め、会場限定グッズで収益も上がったと聞く。ファンにとって、大好きなミュージシャンの生演奏を聴き、多くのファンとともに盛り上がる……その「体験を買う」ことの価値は高い。そして、それはデジタルデータでは絶対に真似のできないことなのだ。

マンガ家もネットの隆盛で紙の本が売れなくなり、仕事が減ったりマネタイズに苦心している。ところが、マンガ家はミュージシャンとは違い、ライブによるマネタイズが不可能だ。関係者は原画展を増やして盛り上げようとがんばっているものの、音楽における生演奏のような価値を原画展やライブドローイングに持たせることは難しい。なぜなら、マンガは描いている過程や描き上がった原紙ではなく、印刷された作品を読むことに最大の価値があるからだ。 続きを読む

カテゴリー: 田中圭一のゲームっぽい日常 | タグ: , | 2020/06/16 更新

田中圭一のゲームっぽい日常 自説を曲げなかったら正しかった件

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あれは1996年の秋だったと思う。

プレイステーション版「ときめきメモリアル」が大ヒットして、私の周囲でもハマっている人が数多くいた。ご多分に漏れずボクもハマって、ときメモ以外の恋愛シミュレーションにまで広く手を出すくらい夢中になった。当時はゲーム会社に勤務していたこともあって、ボクはこう思った。

「男がこれほど夢中になってしまう恋愛シミュレーション、女性向けを作れば大ヒットは間違いないはず。」

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カテゴリー: 田中圭一のゲームっぽい日常 | タグ: , | 2020/06/16 更新

田中圭一のゲームっぽい日常 脳内補完される私

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細野不二彦さんのマンガ「Gu-Guガンモ」のエピソードに、「顔がお釈迦様にソックリの詐欺師」が登場する話がある。やんごとなき尊顔に誰もが「この人は絶対に正直な人だ。」と思いカンタンに騙される、というストーリーだ。

本題に入るが、ボクの知人で、20代の女性がいる。彼女は貞操観念が強い、いわゆる「身持ちの堅い女性」なのだが、周囲からは真逆のタイプに見られて、いつも迷惑しているという。
彼女の特徴は、巨乳、全体的にぽっちゃり体型、いつも気だるい表情、プリっとした唇、舌っ足らずなしゃべり方、気さくで人なつっこい性格…である。俗っぽく言うと「いかにもカンタンにやれそうなタイプ」に見える。だが、実態は違う。恋愛感情なしに身体の関係を持つなど、絶対にあり得ない、という考えの持ち主だ。
人は高い確率で、容姿から人を判断する。さらに、その人の属性やキャリアを踏まえて「この人はこういう生い立ちで、こういう仕事をしてきたから、こういう人に違いない」と決めてかかることが多い。

正直言ってボクは、さきほど紹介した女性の苦しみや辛さが痛いほどわかる男なのである。
というのも… 続きを読む

カテゴリー: 田中圭一のゲームっぽい日常 | タグ: , | 2020/06/16 更新

田中圭一のゲームっぽい日常 ふたつの仕事を同時に持つのは大変なのか?

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かれこれ30年近く、サラリーマンとマンガ家の二足のワラジを履いている。
ず~っと年間365日休みなく働いている。
月曜~金曜は会社勤め、土日は自宅でマンガの原稿執筆…これが私の普通の一週間だ。

ごくごくたまに(2年に1回くらい)仕事のない土日が来るのだが、そんな時はなぜか不安な気持ちになる。日曜日の夜になると「ああ、なにもしないまま土日が終わってしまった。」と空虚な気持ちになってしまう。土日なんだから、なにもしないで休めばいいはずなのに、である。

さて、こんな二足ワラジを履く私を周囲の人たちは「たいへんですよね。よくできますよね。ホント尊敬します!」とリスペクトしてくださる。

とても光栄なのだが、こんな時いつも私はこう答える。 続きを読む

カテゴリー: 田中圭一のゲームっぽい日常 | タグ: , | 2020/06/16 更新

田中圭一のゲームっぽい日常 街のパン屋さんみたいなマンガの売り方

k1_201403数年前、編集家の竹熊健太郎さんは言った。

近い将来、インターネットがメディアの主戦場になるだろう。その時代に、マンガの売り方も様変わりするはずだ。自分は、少数の固定ファンを相手に、彼らが求めるマンガを確実に配信する、例えるなら街のパン屋さんのような出版社を目指す。

そう言って竹熊氏は「電脳マヴォ」という独自のマンガサイトをオープンした。

あれから数年経ち、紙の商業出版は今、販売数の伸び悩みから大きな曲がり角に来ている。それは同時に、マンガ家も曲がり角に立っていることを意味する。

以前にも、このコラムで書いたが、ネタ系のショートギャグはフリーのネットコンテンツによって、マネタイズがとても難しくなっている。どうやら、それはエッセイマンガも同じみたいだ。

私は青木光恵さんのエッセイマンガが昔から大好きだった。 続きを読む

カテゴリー: 田中圭一のゲームっぽい日常 | タグ: , , | 2020/06/16 更新