田中圭一のゲームっぽい日常 脳内補完される私

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細野不二彦さんのマンガ「Gu-Guガンモ」のエピソードに、「顔がお釈迦様にソックリの詐欺師」が登場する話がある。やんごとなき尊顔に誰もが「この人は絶対に正直な人だ。」と思いカンタンに騙される、というストーリーだ。

本題に入るが、ボクの知人で、20代の女性がいる。彼女は貞操観念が強い、いわゆる「身持ちの堅い女性」なのだが、周囲からは真逆のタイプに見られて、いつも迷惑しているという。
彼女の特徴は、巨乳、全体的にぽっちゃり体型、いつも気だるい表情、プリっとした唇、舌っ足らずなしゃべり方、気さくで人なつっこい性格…である。俗っぽく言うと「いかにもカンタンにやれそうなタイプ」に見える。だが、実態は違う。恋愛感情なしに身体の関係を持つなど、絶対にあり得ない、という考えの持ち主だ。
人は高い確率で、容姿から人を判断する。さらに、その人の属性やキャリアを踏まえて「この人はこういう生い立ちで、こういう仕事をしてきたから、こういう人に違いない」と決めてかかることが多い。

正直言ってボクは、さきほど紹介した女性の苦しみや辛さが痛いほどわかる男なのである。
というのも…
ボクの友人には自営業のクリエイターが多い。フリーのイラストレーター、プログラマ、CGデザイナーなどなど。みんな個人事業主だ。誰もが「自分の好きなことだけをやりたくて」フリーランスを選んでいる。ただし、自営業と言うことは、仕事を取ってくる「営業」や、仕事のスケジュールや効率を維持する「管理」、毎月の収支をやりくりする「経理」、そして将来を安泰にするための「経営」なんてものも自分でやらなきゃならない。自由に生きると言っても、こういう「不自由」は避けては通れない。

そこで、多くの人が私にこんな提案をしてくる。「田中さん、一緒に会社を作らないか?田中さんが経営、営業、管理、経理を担当してくれれば、私は創作活動に100%専念できる!今以上にいい仕事ができるはずだし、本当に素晴らしいと思うんだ!」

…ちょっと待て、と。私だって創作者だ。専業ではないものの、マンガ家をやりながら自身のプロデュースから管理や経理までやっている。…ただ、別に「それが好きだから」ではなく、創作のために必要だからやむなくやっているのである。

そう、私だって適任者がいるのなら、その人に経営や経理や営業をまかせて、創作に100%専念したい。

「マンガ家と同時にサラリーマンを兼業して、営業、経営、管理をやっている田中圭一なら、喜んで引き受けるに違いない」と思う人がじつに多いのだ。

これでおわかりいただけただろうか?私には、いかにもカンタンにやれそうに見えてしまう女性の苦悩は痛いほどわかる。わかってしまう。

だから、巨乳、全体的にぽっちゃり体型、いつも気だるい表情、プリっとした唇、舌っ足らずなしゃべり方、気さくで人なつっこい性格の女性の皆さん、一緒に遅くまで飲みましょう。

タグ , | 2020/06/16 更新 |