田中圭一のゲームっぽい日常 最近ちっとも見なくなった「赤っぽいマンガ」

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マンガが好きな人は覚えていると思う。

マンガ雑誌の巻頭に載っている作品は、最初の数ページがフルカラーでその後オレンジ色っぽいカラーページが数ページ続き、モノクロのページへと続く。

このオレンジ色のカラーページを「2色印刷ページ」と呼ぶ。
モノクロの黒インクと朱色インクの2色だけを使うカラーページのことだ。


ご存知のようにフルカラー印刷は4色のインクを使う。2色印刷はフルカラーに比べ低いコストで色ページを作ることができるわけだ。

インクを2色しか使えないわけだから表現できることは限られるが、カラーマンガにおいて、2色だけでフルカラーに近い印象を読者に与えることができるようなテクニックがある。

その一つが、輪郭線などの主線を黒インクではなく青インクを使うという方法だ。青インクは薄く塗れば水色が表現できるし、朱色インクを薄くして水色と混ぜれば紫色になる。

そうすることで使える色数が、黒(青インクをフルで使って黒っぽくする)、水色、朱色、肌色(朱色をうすく使う)、紫、薄紫という実に多彩なカラー画面を2色のインクだけで構成することができる。さらに、朱色ではなくピンクを使うことでさらに表現力が上がる。このように少ない色数で美しい画面を構成する着色テクニックがマンガで数多く蓄積されてきた。

ところが、最近マンガ雑誌では2色印刷を見ることがほとんどなくなってしまった。聞いたところによると、フルカラー印刷のコストが下がり、2色印刷との差がなくなってきたため、2色印刷のメリットがなくなったことによるみたいだ。しかし、私としては2色印刷の持つ独特の表現も魅力的であり、できれば復活して欲しいと思っていたりする。

そこで、最近私は、趣味でわざと2色印刷風の塗り方をしたイラストを描いている。この独特の雰囲気を、フルカラーが当たり前のネット上であえて再現することが、見る者にとって逆に新鮮な印象を与えるのではないかと思うのだが、どうだろう?

タグ | 2020/06/16 更新 |