田中圭一のゲームっぽい日常 創作料理とヒット映画はすごく似ている

私は常々思っている。
たらこスパゲティを考えた人を胴上げしてあげたい。

イタリア料理の代表であるスパゲティに、和食の定番食材であるたらこ、普通に考えたら組み合わせるなんて発想は絶対に出てこない。そのくらい離れた場所にあるふたつの食材を組み合わせてみると、想像以上に美味しい創作料理が誕生したのだ。

また、昨今の回転寿司屋でも、驚きの工夫や組み合わせに、思わず発明者を胴上げしたくなることがある。
例えば、寿司ネタを火で炙る、という行為。

「刺身は生で食べるもの」という常識を覆したことで、想像以上の美味しさを生み出すことに成功している。また、マヨネーズで和えたサラダを軍艦巻きにしたり、霜降り和牛のステーキをネタにしたり、その発想と味には驚くばかりだ。

さて、これらは総じて「異質な美味しさの組み合わせ」が生んだ「常識破りの味」である。たらこは美味しい。スパゲティは美味しい。美味しい者同士の相性が良ければ、その組合わせは1+1が3にも4になってしまう、という好例だ。

さてさて、前置きは長くなったが、今回のテーマは創作料理ではない。
ヒットした映画、アニメ、マンガを分析すると、そこには創作料理のような「異質な組み合わせの成功」を見て取れる。

例えば映画『タイタニック』だ。タイタニック号の沈没という史実から我々が想像するのは不慮の大事故に立ち向かう人たちの「奮闘」や、不沈を謳ったタイタニック号が大自然の力に粉砕される、という「文明の限界」、といったパニック映画の定石であろう。

もちろん、それはそれでとても「美味しい」素材だ。しかしジェームズ・キャメロン監督は、その「美味しさ」に、恋愛ドラマの「美味しさ」を組み合わせた。

そう、たらこスパゲティである。

庵野秀明監督の『シン・ゴジラ』も同様だ。怪獣映画は、それ自体が「美味しい」素材である。そこに『日本のいちばん長い日』のような政治劇、災害に立ち向かう人たちの団結や奮闘劇の「美味しさ」を組み合わせている。

アニメ『ガールズ&パンツァー』も同じだ。

萌えキャラ+WWII戦車たちの大乱闘、という組み合わせだけでも十分「美味しすぎる」のに、ストーリーの背骨になっているのは70年代に大流行したスポーツ少年マンガのそれだ。名門校から無名の高校に転校してきた主人公が、不慣れな素人メンバーをまとめトーナメントを勝ち進み、最後は元いた名門校と決勝戦で対決し、勝利する。
これは、ちばあきおの『キャプテン』を彷彿とさせる。
ライバル校が「いかにもアメリカ」「いかにもソ連」「いかにもドイツ」なのは、車田正美の『リングにかけろ』だ。

こういった「美味しさ」の掛け合わせが、ヒット作を作るセオリーのひとつなのだと思う。しかしながら、美味しいものの組み合わせが、どんな場合でも必ず美味しくなるとは限らない。

この方法論で作られつつもヒットしなかった作品は山のようにある。
今後の私の研究課題は「どういった合わせが、相性バツグンなのか」だ。それを解き明かせば大ヒットマンガ家になれるにちがいない。きっとなれるにちがいない。・・・なりたい。

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